戸田整形外科胃腸科医院 (TODA SEIKEI)
1995 年 / MEDICAL ( 診療所 )
西森陸雄
掲載誌:新建築'96.10
1日あたり約250人の患者とスタッフ20人というやや大きいサイズの診療所であった。スタッフのレクリエーションのための小さな体育館を設計したい、という要望があったが、コストの関係で単独で計画するのは不可能であった。そこで待合室と体育館を併用するようなプログラムを提案し、結果として自然の光にあふれ、開放的で明るい待合室が実現された。設計としては自然資源を有効に活用した省エネルギーの建築を目指した。建物の屋上は、薄い土がしかれ、ワイルドフラワーや芝で緑化されている。この建物が建設される事で失われてしまった地表面の生態系を屋根の上で再生し、併せて建物の断熱性能を向上させるのが目的である。さらに地下に蓄積された雨水を太陽光発電で得た電力で動くポンプにより定期的に屋上に散水することができる。これらにより現在のパブリックエネルギーサーキュレーションからできるだけ独立したエネルギーや資源を利用して、建築の中に生態系を内包しながらエネルギーロスを抑えるというシステムを達成した。
撮影:古館 克明 (Furudate Katsuaki)