白金台ist
2004 年 / COMPLEX ( 集合住宅 )
西森陸雄、大橋渉(OB)、永山千恵子
3住戸のコーポラティブハウス。
今まで縁もゆかりもなかった家族同士が一緒に家を作る、そして時として生活を共有する。しかも3組という小規模でバランスのよい数。
それらの特徴を生かして、外枠は一件の大きな家を作っていくイメージから始まった。
そして立地環境は3軒分の住宅を入れるとすると十分な広さではない旗竿敷地、敷地の四周はほぼ隣の住戸が近接している。細い私道を介して家々が密につまって建っているような地域。
そのような条件下で、適度なプライバシーを保ちながら開放的な、広々とした内部空間を作り出すことを試みた。
容積をめいいっぱい利用しながら、床を南北方向に半階ずつずらしていくスキップフロアとし、地下1階から地上3階まで7層の床で構成され、2階までは東西にならんだ同じ構成の2住戸を作り、その上階はフロア全部に残りの1住戸が乗っている。
また近隣住戸のわずかな隙間、隣の庭などに向けて開口を作って視線の抜ける場所をつくる。半階ずれているので隣の窓からの視線もずれる。
このフロアはキッチン、このフロアはリビングなど、フロアごとに用途を分けて極力間仕切りを排除しても内部をゆるやかに仕切ることができ、一つのフロアからその上と下のフロアが同時に見え、その先には窓があるという水平方向、垂直方向への視界の広がりが作り出されている。
RCボイドラーメンのがっしりとした構造とひとかたまりのシンプルな外観の中には、思わぬ開放感と三者三様の個性を最大限に生かした空間が広がっている。
撮影:株式会社ナカサアンドパートナーズ (Nacasa & Partners Inc.)