カセットオフィス (Cassette Office)
2001 年 / OFFICE ( 事務所 )
西森陸雄、熊木英雄(OB)
掲載誌:新建築'02.02
バブル崩壊のあおりで競売にかけられた物件が建売業者に渡り、都心部ではプランも断面もほとんど同じような、木造3階建ての建売り住宅が増えつつあった。1階に駐車場と水回り、2階にリビングやダイニング、3階に寝室という構成にあまり変わりはない。小さな3階建ての住宅の1階がポッカリ抜けている風景も同時に増えつつあり、その風景の起爆剤となる何かを挿入できないかというテーマが設計の出発点なった。
戸建て住宅のような限定された余白のスペースに、企画化可能なパーツで構成されたSOHO、ガレージオフィスのコンテナ型ユニットを、キャンピングカーの様に、移動するかのごとく自然に挿入する。それらのパーツはエンドユーザーによってセレクトされ、多様なライフスタイルを実現するための新たな住宅パーツとなる。それが街に対して開放的であったり内向的であったりする事で、新たなコミュニケーションが形成される可能性もあり、そこにこのプロジェクトの多元的な発展の可能性を感じている。
撮影:新建築写真部